ペットの寿命は、近年だけを見ても飛躍的に伸びている。それは日進月歩で進化し続ける獣医療の賜物だとも言えるはず。新たな治療法が次々と生まれている中で、“良いものは取り入れる”という方針のもと、積極的に効果的な治療を行っているのが『ウェスト動物病院』だ。
こちらでは犬や猫以外に、どういった動物を取り扱っているのですか。
小鳥、うさぎ、ハムスター、フェレット、爬虫類などの他、水族館の仕事もしているので亀やペンギン、カワウソやスカンクなども診る事があります。特殊な動物を診る機会が多く、未だに初めて診る動物もいるほどです。
先生ならどんなペットでも診ていただけると、安心してお越しになる方が多いのでしょうね。多彩な動物を診るにはその分知識や経験も必要だと思いますが、こちらでの診療の特徴を教えていただけますか。
“治るなら方法は何でもいい”という考えを基本としています。基本は西洋医学ですが、漢方薬やハーブ、ホメオパシーや音響治療や鍼治療など、良いと思われるものであれば何でも取り入れています。毎月、各分野の専門医を招いたセミナーを開くのですが、常に20名程の仲間の獣医師達が集まります。
勉強会でさらなる知識を取り入れるというわけですね。先ほど鍼治療までされているというのを聞いてとても驚いてしまいました。やはりヘルニアへの対処ですか。
ヘルニアにはリハビリが一番大事ですが、鍼はヘルニアや軽度の下痢などにも効果があります。また、ペットには飼い主が物理的に触れることがとても大切で、コミュニケーションツールとしてのマッサージはお勧めです。ツボを刺激するという事にもつながりますので、マッサージの教室も開催しています。犬などは気に入るとどんどん求めてくるようにもなりますよ。
確かに絆を強めるためにも、スキンシップは効果的ですよね。ところで近年、犬も膵炎を発症するケースが増えているように感じるのですが、現場の獣医師として実際にどのように思われますか。
おっしゃるように膵炎と胆のうのトラブルは、特に最近では増加傾向にあります。今まで見逃されていた症状が出てきたのか、その原因はまだ定かではありません。また、以前と比較するとペットが長生きになった為、ガンや痴ほうにかかるケースも増えてきました。まさに、ペットも人間と同じ問題を抱えるようになってきたという訳です。
ペットの介護も必要な時代になってきましたよね。現在我が家には保護犬と被災犬がいるのですが、それぞれ心のケアが必要だったり、一生涯にわたる持病をもつ子もいて、医療費の問題も人間同様です。
病気の中には多少改善するけれど治りきらないというものは数多く、治療費が積み重なって高額になりがちです。諸外国と比べると日本のペットは恵まれていますが、残念ながら保険の問題などへの対応は遅れているように感じます。飼い主の皆さんから我々が一番に求められるのは“治すこと”、そして“安さ”です。とは言え、薬によっては高額なものが数多くあるのも事実です。ニーズに応えるには難しい面もありますが、現場では臨機応変に対応していかなくてはなりません。同じ動物でもひとりとして同じ子はいませんから、我々獣医は今やれる最良の治療を着実にやっていくだけです。