ゲスト 大場久美子

 大学の総合内科にいた頃、なかなか病気が治らない人々に接して漢方に着目するようになった下村院長。西洋医学では病名が付きにくい症状も、漢方ならば対応できる事が多い。保険診療の範囲内で一人一人に合わせたオーダーメイド処方が、昔と比べて服用しやすくパックで持ち運びできる点も受け、西洋医学と組み合わせた漢方の人気が高まっている。

大場久美子:こちらでは西洋医学と併用して、漢方に重点を置いていらっしゃるそうですね。漢方は予防医学というイメージがあります。
下村裕章:漢方の基本的な考え方は、身体が熱を帯びていれば冷やし、冷えていれば温める。足りないものを補い整えて、身体のバランスを正しい状態に戻す事で病気を予防していきます。例えば女性に多い冷え性は、お腹が弱くても起こりますし、加齢や自律神経の乱れなど色々な冷え方があります。それら一つ一つの原因に合わせて最適な漢方を使い分け、身体のバランスを整えていきます。
大場:冷え性を治すと同時に腰の痛みが軽くなる事もあるそうで、他の病気の予防にも繋がるわけですね。「日常生活には支障はないけれど、何となく調子が悪い」というのも診ていただけるのですか?
下村:それも症状の1つですから対応しますよ。「どこかわからないけれど、あちこち痛い」、「ご飯が食べられない」など、病名が付きにくい症状である『不定愁訴』についてのご相談も多いです。
大場:西洋医学との違いはどのようなところですか?
下村:西洋医学は「病気を治す」、東洋医学は「身体の症状を治す」事に重きを置きますので、治し方が違います。例えば風邪を引いて熱を下げる場合、西洋医学は解熱というワンポイントに対してのみ効果がありますが、漢方薬を使うと解熱と同時に頭痛や寒気もとれ、1回の処方で身体全体に効果があります。即効性があるのも特徴でしょう。また、アトピー性皮膚炎などにも有効で、ステロイド剤ではなかなか治らなかった方が漢方で改善されて喜ばれています。
大場:なるほど。身体全体のバランスをとるので、他の箇所も自然に良くなるのでしょう。先が見えないのが1番不安ですから、なかなか治療の効果が出ずに悶々としている時に「この漢方を試してみませんか」と言ってくださるとすごく嬉しいですよね。
下村:そうした暗闇に入ってしまうと目をつぶってしまう患者さんが多く、少しでも前向きに治療に取り組めるように、漢方をご提案させていただいています。初めて問診する時は、まず西洋医学的な話をした上で東洋医学的な説明を時間をかけて行います。日々の生活や現在の症状を中心に、場合によっては家庭環境までお聞きして原因を探していきます。
大場:じっくりと対話を重ねていくうちに、患者さんの心もほどけていくのだと思います。漢方の良さを改めて知る事ができ、勉強になりました。
下村:これからも全国各地での講演やテレビなどを通じて漢方についての知識を広め、後進を育てる教育的な側面にも力を入れていくつもりです。常に患者さんの立場での診療を心がけ、どんなお悩みにも応じていきたいと思っていますので、お気軽にご相談ください。